英語を使う仕事への転職はアジアでもできる。まずは1歩を踏み出してみよう!

【あらすじ】

商社に勤めて5年目になるタクトは、理想とかけ離れた今の仕事にうんざりしていた。

そんなある日、仕事で中国人の社長に出会う。

その中国人の社長から、アドバイスをもらううち、新しい転職の形を見出す。

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「本日は貴重なお時間、どうもありがとうございました。」

接待相手がタクシーに乗って帰っていく。 

ほろ酔い気分で楽しそうだ。 

これで一つ仕事が終わったと思ったとき、一緒に接待をしていた上司に呼び止められた。

「どこ行くの、もう一軒行こうよ。 

 

やっと開放されると思っていたが、やはりそう簡単にはいかないようだ。

「君ね、あそこでちゃんと盛り上げないとダメでしょう。お酒をぐいっと飲んでさ、どうして君はそんなに空気が読めないのかなぁ。」

いつもの上司の説教が始まった。

 

この人は酔うといつもこうだ。 

大体僕はそんなにお酒が強いほうではないのに、無理して接待の時はお酒を飲んだりしている。

その努力も分かろうとせず、空気を読め、の一点張りだ。

 

僕は昔から英語が好きで、英語が使える仕事に就きたいとこの会社に入った。

しかし、実際は単なるルート営業。 

英語を使う機会など全くないばかりか、接待や営業先で頭をぺこぺこ下げ、上司には説教をくらう毎日。

「こんなはずじゃなかったのにな。」 

そうつぶやきながら、上司の説教をただただ謝りながら聞いていた。

 

ある日、新規顧客の会社に出向いて、打ち合わせをすることになった。

どうやら、社長が中国人の会社らしい。

おそるおそる受付の人に、社長との打ち合わせのアポを取っていることを伝えると、大きな応接室に通された。

「時間ぴったりだヨネ。」 

部屋に入るなり、少し変なイントネーションで社長が、話しかけてきた。
 

「この度は、お見積もりありがとうございます。私…。」

「いいよ、いいよ、そんな挨拶は要らないヨネ。あ、私ヤンです。とりあえず座って座って。ご飯食べた? 」 

「え。あぁ、はい、食べました。あの、失礼します。」

なんて元気の良い社長なんだ。 

こちらが話す隙がない。
 
「うん?どうしたの?元気ないヨネ。何かあったの?」

「いえ…、特にございません。」

「うんー、仕事疲れるヨネ。大変そうヨネ。大体ネ、日本人働きすぎヨネ。いつも時間ばっかり気にしているし。ぺこぺこ頭も下げるでしょう。そんなに気を遣わなくていいのに。私ネ、日本に来て初めて覚えた言葉、『気を遣う』ヨ。ははは。」

 

それからこのヤン社長と色々話をした。

そうするうちに、初対面で、しかもお客さんにも関わらず、自分の今の仕事の悩みを打ち明けていた。

「そう…。うんー、難しいヨネ。私もネ、ちょっと仕事が合わないと思ったら、考えていることあるヨネ。ちょっとそれ教えるヨ。」
 
ヤン社長が言うには、まずこの三つを試したほうが良いということだった。
 

1.将来なりたい自分像を紙に書く。
2.現状を紙に書く。
3.将来のなりたい自分と現状のギャップを埋めるために何をすべきかを箇条書きにし実行する。

 

ヤン社長の会社を後にした僕は、すぐに言われたことを考えた。 

まず、なりたい自分像は、英語を使う仕事に就く、ということだ。

そして、現状は、ただの営業マンで英語は一切使わないし、仕事に不満がある。 

最後にギャップを埋めるには、どうすればいいのか…。

 まず上司に部署の変更願を出すということか。

僕はすぐに実行に移した。
 

「あぁ? 違う部署に行きたい?お前、ふざけんなよ。ここの仕事も満足にできないやつが、海外担当の部署にいけるわけないだろう。あそこはな、選ばれた精鋭だけが行けるんだよ。海外担当に行きたいやつは、山ほどいるしな。お前みたいな、仕事ができないやつには、無理だな。分かったら、黙って仕事しろ。」

 
・・・まぁ予想通りの結果だろう。

しかし、海外担当の部署が、そんなにも人気だということは知らなかった。

次はどうしようか考えているうちに、またヤン社長の会社に行く日になった。
 

「うんうん、そうかそうか。あなたも色々と考えているヨネ。英語を使う仕事かぁ。日本にはなかなか無いのかも知れないヨネ。おお!じゃあ、海外で働いたらどうかな。」 

「海外だなんて、僕には無理ですよ…。」 
 

「いやいや、そんなことないよ。今、色々な会社が海外転職をサポートしているヨ。それに、あなたは日本で何年かキャリアがあるでしょう。海外に行ってみたら、海外の方が合うかもしれないヨ。まぁでも、いきなりアメリカとかイギリスとかは難しいかなぁ。まずはアジアから行ってみたらどうかな。中国いいヨ。中国おすすめヨネ。ははは。」 

 

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僕はお礼を言ってヤン社長の会社を出た。

もはや、仕事の話はほとんどしていなかった。 

僕の頭の中は海外転職のことで一杯だった。

すぐにヤン社長に教えてもらったサイトにアクセスし、自分の履歴書を送ることにした。
 
1.DODAグローバル

doda.jp


2.パソナ中国

【パソナ中国】中国(上海・北京・広州・深圳・蘇州)での転職・就職・求人情報サイト

 

3.RGF-HRAGENT

www.rgf-hragent.asia

 

英語での履歴書を求められることもあったが、簡単に作ることができ、海外転職も国内転職の仕方とほとんど変わらないということを知った。

そして何社かエントリーするとすぐに返信があり、とんとん拍子に決まって行ったのだった。

 
もちろん、僕は中国語ができないので、中国語はできないときちんと記載し、できるのは英語のみであると説明したのだが、ヤン社長がおすすめしてくれたように、中国の会社から内定をもらうことができた。

 
どうやら中国では日本人を募集している会社が多いようで、転職もしやすいようだ。

他にもフィリピンやマレーシアなどの会社が募集をしていた。

どれも魅力的ではあったが、ヤン社長にすすめられたこともあり、中国に行くことにした。

 

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こうして僕は日本を離れ、中国で生活することとなった。

どうやら、中国の会社でも英語のみで仕事ができるらしい。

ついに、英語で仕事をするという、なりたかった自分像を手にしたのである。